運命を変えたある男の物語

更新日:5月9日

その昔、袁了凡(えんりょうぼん)という

男がいました。

彼は父親を早くに亡くし、

母親に育てられました。

母親は、彼に医者になってほしかったので、

彼は医者を目指していました。

あるとき、彼は占い師に出会い、

こう言われました。

「あなたは、役人になる人なのに、

 なぜ勉強をしていないのか?」

実は、彼は本当は医師ではなく、

役人になりたかった。

それを聞き驚いた彼は

その占い師を家に泊めました。

すると占い師はことごとく

彼の今までの人生を当てるので、

一生を占ってもらいました。

「役人の試験に何番目の成績で合格し、

 いつ役職がつき…」

と、事細かに教えてもらいました。

そして、

「子どもは授からない」

「53歳で一生を終える」

なども伝えられました。

本当の自分の人生を生きたいと思った彼は、

役人の試験に挑戦しました。

見事、占い師の言った通りの成績で合格。

それからもやはり

占い師の言うとおりの人生となりました。

あるとき彼は、こう悟りました。

「すべては運命が決めるのだ」

それから、別の場所で

ある僧侶に出会いました。

その僧侶の寺で座禅をしていた彼を見て、

僧侶はこう尋ねました。

「なぜ、お主はそんなに

 邪念なく生きているのか?

 

 お主には、何があったのか?」

すると、彼はこう答えました。

「昔、占い師から一生を占ってもらいました。

 人間には運命というものがあるので、

 私はすべてを運命に任せて

 生きていこうと決心したんです。

 すると邪念は消えていったように感じます」

それを聞いた僧侶は、笑ってこう言いました。

「あなたを優れた人物であると思ったが、

 ただの凡人だったか。

 もし一生が決まっているのなら、

 努力も何も必要ないではないか」

そこで彼は、聞きました。

「それなら、運命は変えられるのですか?」

僧侶は、答えました。

運命は、自分がつくるものだ。

 幸せとは、自分が求めるものだ。

 

 心に従って生きたなら、

 幸福も名誉も得ることができる。

 しかし、名誉だけを求めるなら、

 両方とも失うであろう」

彼は、ハッとしました。

自分が徳を積まず、

力任せの人生を生きて来たことに気づきます。

人を操り、抑え込ませ、怒りに任せて、

愛することを忘れていたことに気づきます。

そして反省した彼は、その僧侶から、

運命の変え方を教わるのです。

こうやれば、運命は変わると。

運命を変える方法。

それは、

「徳を積む」

ということでした。

「子どもを授からない」

「53歳で一生を終える」

など、運命と呼ばれるものは、

「徳を積む」と変えられるということです。

「因果応報」という言葉がありますが、

「自分がつくった行為は、

 避けることができない」

という意味です。

それに従えば、

「自分が積んだ徳も、避けることができない」

「自分がつくった福による幸せもまた、

 避けることができない」

ともいえるのです。

「徳を積めば、運命を変えられる!」

そう、悟ったのです。

それから彼は、「徳を積む」人生を生きます。

受験合格には「得点」が必要なように、

運命を変えるには「徳点」が必要です。

彼は、徳点を積み上げました。

ゴミを拾ったら1点、

靴を揃えたら1点、

人を助けたら3点、

トイレを綺麗にしたら5点、

命を救ったら50点…

「得点表」ならぬ「徳点表」をつけ、

人生を生きたのです。

それから、

占い師の予言は外れるようになりました。

どんどん運命と違う生き方をするようになり、

子どもも授かり、83歳まで生きるという

長い人生を送ったのでした。

 


「袁了凡」は、明の時代にいた

実在の人物です。

本名は「袁黄」と言います。

しかし運命は変えられると悟ったことで

自ら名前を「了凡」に変えました。

「凡人を終了する」という意味です。

その人生記録を、子どものために書き残し、

それが『陰騭録』(いんしつろく)として

現代にも伝わっています。

皆さんは、この話を読んで、

どう思われますか?

もし宿命または運命というものがあっても、

この物語に従えば、未来は変えられます

未来は、変えられるんです。

上記の陰騭録を踏まえて、

最後に、知っている人はやっている

「運の貯金」について書きます。

どの分野でも「成果を上げる人」というのは、

人知れず運の貯金をしています。

例えば沖縄に移住した私を拾ってくれた、

まさに人生を変えてくれた前社長は、

果てしなく運を貯金する人でした。

以前、ある人との約束前に

一緒にカフェによったときのこと。

そこで楽しくおしゃべりをしていたのですが、

新調したばかりの真っ白のジャケットに

新人店員さんからコーヒーをこぼされてしまいました。

普通なら文句も言いたくなるところですが、

前社長は違いました。

文句を言うどころか、

「いやいや、ちょうど

 クリーニングに出すところなので」

「いつもこのお店にお世話になっているので」

と言いました。

さらにはそのカフェの

コーヒーの美味しさについて語り、

最終的には涙目だった店員さんが

笑顔になるまで話し続けていました。

「なぜ、そこまでするのですか?」

と聞くと、「いやいや、普通だよ」と

当たり前のような顔で言っていました。

いつでもどんなときでも、

本当にそんな人でした。

マイナスの状況を、そんな感謝で応対する。

そういう積み重ねは、運の貯金になります。

運の貯金があると、いざというときに

いい結果が出たりします。

「運」は「運」でも、引きが強い人

っていますよね。

運」を、貯金していたからです。

しかしこのような話を子どもにしても、

なかなか聞かないものです。

が、「ある時期の子ども」に話すと、

8割の子が真剣に聞きます

「ある時期の子ども」とは?